今日は国艶茶廠の作る、
国艶境界 老曼峨を品茶。
国艶境界は国艶茶廠の最高級生茶シリーズで、毎年その年の枚数だけ(2009年であれば2009枚)の限定生産品である。
約2000枚=800kgという数字は小規模茶廠でない茶廠の作るプーアル茶としてはかなり少なく、しかしそれだからこその厳選した茶葉での茶作りをすることができる。
このプーアル茶はプーアル茶バブル真っ最中の2008年に作られたプーアル茶である。
バブルであり、老曼峨という産地であったため価格も大きく上がっていた。
開店時の仕入を行っていたが、資金力の無い当店にとってはこのようなプーアル茶は高額でおいそれ手に入れることができず、最小の仕入での開店となった。
その後も日々試飲を続ける毎日であったが、このプーアル茶を飲むたびにそのおいしさ、それは老曼峨茶葉のもつ味の強さであり、ひいてはこのプーアル茶の品質の高さにとらわれるようになり、次第に頭からはなれなくなり結局再度仕入を行ってしまったプーアル茶です。
その後、老曼峨のプーアル茶は評価を上げていき、このプーアル茶も大きく値を上げました。
プーアル茶バブルの崩壊などもありましたが、なんだかんだでバブル時よりも茶葉の価格が上昇した現在では同じレベルのプーアル茶を作るろうとしたら一枚いくらかかるのかわりません。
と思わずこのプーアル茶にまつわる思い出話が長くなってしまいましたが、このプーアル茶の品評です。
老曼峨は最も高値のつく茶産地である老班章から3km程度の距離にある茶産地です。
その歴史は古く、たくさんの老茶樹が見られます。そして、その味わいは班章茶に近く「味の強さ」に特徴があります。
この国艶境界シリーズであるこのプーアル茶は老曼峨の老樹で摘まれた新春若芽で作ったプーアル茶です。
若芽ですが雲南大葉種の中でも茶葉の大きな在来種で、しかも老樹。そこから摘まれた若芽は若くともサイズ感があり、ふっくらと柔らか。
できたての頃は苦味がこれでもか!というほどに強く「ポテンシャルは最高」と確信はできるけれどもプーアル茶としてのおいしさはまだまだといったところであったが、それから9年がたった現在、苦味は重厚なコクへと変化した。
この濃厚なおいしさは老曼峨ならではであり、班章系統のおいしさの中でも最上レベルに位置する味わいである。
煎もよく続くプーアル茶であるが、最初の一煎目の重厚感のあるおいしさはこのプーアル茶ならではであり、この一煎のためだけにこのプーアル茶を飲んでも惜しくはないほどである。
作られてからの7年で苦味が消え、コクのプーアル茶となったこのプーアル茶であるが、これからの10年はまろやかさを見据えた10年となる。期待からはじまり、確信へと変わり、実りの季節を迎えた国艶境界 老曼峨。これから飲み頃へと熟れて行く極上のプーアル茶です。