引き続き宮廷プーアル茶の話です。
宮廷プーアル茶とよんでも問題がないレベルの仕上がりの
五子登科ですが、孟海茶廠にとっては特級茶です。そんな、孟海茶廠が作る宮廷プーアル茶が
皇茶 御貢圓茶です。
まずは宮廷プーアル茶について前回のおさらいです。
前回の記事でも書きましたが、宮廷プーアル茶は宮廷級茶葉から作るプーアル茶です。宮廷級茶葉とは茶葉の中でも特に若い、小さな若芽で何よりもその品質が十分であることが大切です。
宮廷プーアル茶についてもう少しほかの側面から見てみましょう。
宮廷プーアル茶はかつて皇帝に献上していたお茶、貢茶をそのモチーフとしています。
貢茶にもいろいろありましたが、皇族専用の茶園、そこで摘まれる茶には早春の最も若い茶葉をうら若き乙女たちが一芽の状態で摘んだものといいます。非常に小さな芽なのでたとえば一芽二葉茶葉と比べても、同量の茶葉を作るためには何倍もの茶葉が必要となります。現在、そのような茶を作るの不可能ではありませんが見かけることはありません。
中国最後の皇帝、愛新覚羅溥儀もプーアル茶を愛飲したといわれますがこのようなプーアル茶を飲んでいたのでしょうか。
ごく小さな一芽を摘み取ることは現実的にかないませんが、すでに摘まれた茶葉から芽を選別することは可能です。特に裁断され、発酵工程を経てもろくなった熟茶葉であればなおさらです。選別作業は篩と唐箕で行われます。そのようにして選別した若芽を使って宮廷プーアル茶は作られるようになりました。
さて、ようやく
皇茶 御貢圓茶に話が戻ります。
孟海茶廠の作る数あるプーアル茶の中でも皇茶シリーズとして売り出されるプーアル茶は限られています。
黄色地に青の帯で囲まれた御貢圓茶という名前。どれをとっても宮廷プーアル茶にふさわしい風格を持っています。餅面からも茶葉の小ささが見て取ることが出来ます。
ゆるく押し固められていた五子登科とは異なり、
皇茶 御貢圓茶はしっかりと押し固められています。崩すときは茶刀や千枚通しなどを使って崩してください。
出はすこぶるいいです。これは芽茶の特徴ですがその反面、煎がつづきません。五子登科よりも煎が続くので多めの茶葉で何煎も淹れて楽しむのもいいですが、やはり芽茶なので少な目の茶葉で一煎ないし二煎楽しむのをおすすめします。
五子登科と同じ道筋に乗った味作りです。とはいえ、その茶葉、そして茶作りに違いがあります。
宮廷級茶葉にふさわしいうまみを持ったこのプーアル茶は薄く淹れても味が間延びせず十分なおいしさを堪能することが出来ます。そして新発酵技術が採用されているので茶葉の風味がより生きています。
フレッシュ感のある風味には果実味があり、その印象は今までに飲んだ宮廷プーアル茶とは異なります。宮廷茶葉のまろやかさと新発酵技術のフレッシュ感の出会いはこれまでにない印象を与えます。
葉底をみるとその茶葉はふっくらとして柔らか。宮廷プーアル茶の葉底としては格段に柔らかい部類に入ります。これもやはりもともとの茶葉と新発酵技術の賜物といえるでしょう。
御貢圓茶のすばらしさばかりに目を当てた分、五子登科の印象がかすんでしまうかもしれませんが、大益の宮廷プーアル茶にはずれはありません。五子登科も自信を持ってお勧めするすばらしいプーアル茶です。まずは五子登科でお味見、そして普段飲みに。さらに宮廷プーアル茶をお気に入りいただければ御貢圓茶をとっておきのプーアル茶にラインアップください。
と今回は営業の言葉がでてきたようなので、ここで切らせていただきます。