先日、お客さまからのメールで洗茶についてコメントをいただきました。
〜以下抜粋〜
先日、XXXのティーバックの紅茶をいただく前に洗茶をしてみたところ、いつもよりおいしく感じたので、後日飲み比べてみたところ、味わいが全体的にすっきりとしてやはりおいしく感じました。
〜ここまで〜
私はあまり紅茶を飲むことはないのですが、某有名ブランドのティーバックを買って試してみたところ、確かに雑味が取れておいしくなっていました。
プーアル茶に限らず、中国茶の作法では洗茶をするのが基本となります。
ここにもいろいろと議論があるのですが、基本はするものです。
私も普段お茶を飲むときは一度洗茶をしてから飲むようにしています。
ではなぜ中国茶は洗茶をしなくてはいけないのか?
ここもいろいろな議論があるところですが、わたしの見解ではやはり味のためとなります。
今回メールを下さった方もおっしゃっているようにやはり味が良くなるのです。
以前私の友人で最初の一煎目は完全に捨ててしまうという話をした気がしますが、
やはりそれも一煎目の雑味を含んだお茶よりも二煎目以降のほうがおいしいためです。
ではなぜプーアル茶(=中国茶)では一煎目に雑味が入るのでしょうか?
これに対しては、逆にどうしてそのほかのお茶には雑味が入らないのでしょうか?
今回お客さまからのメールをきっかけに実験してみましたが、紅茶もやはり一煎目には雑味が含まれているのです。
そもそもお茶づくりというものを考えてみたとき、お茶づくりそのものは何も変わりません。
成長した茶葉はそのまま摘まれ、殺青など過程を経てお茶へとなります。
その間、洗浄されることはけっしてありません。
野菜を買って、料理をする前には必ず洗ってから使います。
なぜなら畑でホコリなどを浴びたまま出荷されているのが通常だからです。
果物でも同じです。
皮をむいてからいただく、皮ごといただくときはやはり洗ってからいただきます。
お茶もきっと同じはずなのです。
あらってしかるべきなのです。
そしてお茶では洗茶をすればお茶はさらにおいしくなります。
では何でも洗えばいいのか?
そこは洗って手に入るものと洗うことによって失うもののバランスだと思います。
洗茶をすることによって雑味は抜けますが、同時にうまみも抜けています。
以下は推論ですが、プーアル茶ではうまみ成分が溶け出すのは比較的高温なので、平温の茶器に茶葉を入れ、お湯を注いだときは温度が下がるのでそこまでうまみが抜けないと言えるのかもしれません。すなわち、得るもの>失うものとなります。
それに対して、日本茶では、うまみの主役はテアニンなど低温で溶け出す成分となってくるので、洗茶をするとうまみの大部分が抜けてしまうので、つまり得るもの<失うものとなってしまうので洗茶はしない方がいいのかもしれません。
以上、洗茶に対する雑感です。
ともあれ、今回、紅茶の味わいがすっきりとしておいしくなったという事実はあります。
皆様も普段飲むお茶を洗茶してみてください。
きっといつもよりおいしいお茶になるでしょう。