今日は
2000年の易昌號 篆体版 精品を賞味。
銘牌、易昌號の最高評価は当然
'99易昌號となりますが早期昌泰と呼ばれる時代の易昌號はそれに続く高評価を受けています。
で、早期昌泰っていつまで?と問われればそれは2003年までとなりますが、さらに踏み込んでなぜ早期昌泰は評価が高いの?と問いに対して答えると「易昌號の成功をもとでに2004年以降プーアル茶のラインナップを拡充した結果、それまでの厳選されたプレミアムプーアル茶だけを生産するというスタイルからお手ごろなミドルクラス以上のプーアル茶を生産するというスタイルへと変化したため、それまでの『ほとんどのプーアル茶が当たり』と言う状態から『普通のプーアル茶と当たりプーアル茶が混在』という状態になったため」という答えになります。
話が脱線してしまいましたが、もちろん当たりのほうである、この易昌號 篆体版 精品は2000年について少し解説していきましょう。
まず昌泰の味作りですが、軽やかさのある仕上がりが挙げられます。これは昌泰の代名詞と燃える、'99易昌號の味わいまでさかのぼることができますが、このプーアル茶のブレンディングには茶人、石昆牧によります。その味作りは濃厚な旨味をもつ孟海茶廠の生茶とは異なり、香り高く、酸味を感じさせる軽快さがある味作りで、'99易昌號以降の昌泰プーアル茶の味作りが基本にもなっています(石昆牧は易昌号の成功で大きく名を上げました)。
軽いとはいっても、その韻は深く長く続き茶葉の品質の高さを存分に感じることのできる仕上がりです。
そしてこのプーアル茶は精品となります。
易昌號には3つのグレードがあり、極品(現在では珍品と呼ばれる)、精品、正品があります。
その違いは現在では使用されている極品は野生喬木茶の一芽二葉、精品は喬木茶の一芽二葉、精品は喬木茶の一芽三葉とありますが、当時の喬木茶は長期にわたって人の手が入っていない荒山茶だったので、茶葉のグレードの違いが基本的な違いとなります。
余談ですが、発売当時は極品と呼ばれていましたが、その後規制が変更され、極品は使用不可となり珍品が最上級グレードとして使用されています。
さて、このプーアル茶ですが写真からも見られるように内飛が入っていません。
サンプル用に開けた筒の中でこの一枚だけ内飛が入っていなかったので必然的にサンプルとして試飲にまわされることとなりました。こういったちょっとしたエラーのあるプーアル茶は一昔前ではちらほら見ることがありましたが、消費者の目も厳しくなってきた昨今、こういったものを見ることはだんだんと少なくなってきました。いいことなのですがちょっとさびしい気がします。
話をもどしまして、この当店の易昌號 篆体版 精品は2000年の特徴としてはマレーシア自然倉仕上げということが挙げられます。当初、香港の茶商を経由して2000年からずっとマレーシアに輸入されたとのことです。
マレーシアの気候は通年を通して温暖で湿潤であるため、倉庫に工夫などをしなくても一年を通して安定して熟成が進むため、かびることもなく、いやな倉庫味がつくこともないのでその評価は高いものとなっています。
このプーアル茶を当店が仕入れたのは2010年です。
10年間分のマレーシア熟成を経ているのでこのプーアル茶の味の方向性はすでに固まっているので、これからはおかしな保存環境(高温多湿)にしない限りじわじわとおいしくなっていくでしょう。
実際、仕入れた当時の味わいと比べると変化してきています。
当時10年熟成であったこのプーアル茶にはまだ若さのようなものを感じることがありましたが、すっかり落ち着き香りの質も華やかさから杏仁香、楠香といったプーアル茶らしい香りへと変化を遂げています。
この先の熟成も楽しみな易昌號 篆体版 精品は2000年です。