お客様からご感想をいただいたので、
版納七子餅茶2004年を試飲。
このプーアル茶は昌泰茶業が作る昌泰號系列の版納七子餅茶、すなわち西双版納の茶葉で作ったプーアル茶である。
昌泰茶業の作るプーアル茶(生茶)としては
易昌號、昌泰號がまずあげられる。
易昌號は易武山茶葉で作るプーアル茶が基本である一方、昌泰號は一茶山に限らず複数茶山から摘まれた茶葉で作るプーアル茶のシリーズである。
この版納七子餅茶は複数の茶山から摘まれた茶葉で作られる正宗 昌泰號からさらに広げてプーアル茶の一大産地である、西双版納という広いくくりで摘まれた茶葉から作られたプーアル茶である。
軽さのあるその味作りは確かに昌泰號の作りを踏襲していることがわかるが、この版納七子餅茶はその香りにおいて特別なプーアル茶である。商品説明ではお香のようなと評しているその香りであるが、より具体的には荷香のバランスが強いプーアル茶であり、何よりその香りが他のプーアル茶ではなかなか見られないほどの強さである。
このプーアル茶との出会いは2010年にさかのぼる。深圳の昌泰茶業の事務所に招かれいくつかのプーアル茶の試飲を行った。初めて飲んだ際の印象からその香りには他のプーアル茶とは明らかに違う特別な香を宿していた。その頃まだ6年ほどしか経っていなかったこのプーアル茶は、新しいプーアル茶らしく華やかさも同様に強くあり、全体としては白檀のような、ともすると鼻を突くような印象のあるプーアル茶であった。
この2004年の版納七子餅茶と同時に2003年の版納七子餅茶の試飲も行ったが、こちらは
正宗 昌泰號に近い、王道を往く味作りの、実に質の高いプーアル茶であった。
しかし、他には無いその香りの強さに惹かれこのプーアル茶を仕入れることとした。
それから5年の月日が経った。
淹れ方によって香が立ちすぎることも、すっと落ち着いた香になることもあるじゃじゃ馬っ気があるプーアル茶には変わりがないが、だんだんと落ち着き、味わいは深くなってきている。
一方の2003年の版納七子餅茶はしっとりとした味わいの深さを醸し出し、飲み頃を迎えている。こちらは優等生なプーアル茶なのだろう。
作られてから11年。そろそろ飲み頃を迎えようとするが、このプーアル茶にはもう少しだけの時間が必要かもしれない。
しかし他には無い魅力を備えたこのプーアル茶には期待こそすれ不安は無い。