プーアル茶を代表する茶廠、
孟海茶廠。
このもっとも古く、もっとも大きな茶廠はその長い歴史の中でいくつもの銘茶を生み出してきました。
その創立以来、国営企業として政府によって運営されてきましたが、商売というものをあまり考えることのない国営企業体質のもと、その財務状況は悪化し、90年代の終りころには農家への未払い金なども積み重なり、経営の危機的状況にありました。
そのような状況が続いた2004年、中国の開国、それに伴う民営化の波に乗り孟海茶廠も民営化されます。
採算性が重視される民営化に伴い、孟海茶廠のプーアル茶作りはだんだんと崩れていきました。しかしながら、それと機を同じくして起こったプーアル茶バブルにより、かつて孟海茶廠が作り出した銘茶はその価値を大きく上げ、新しく作ったプーアル茶も飛ぶように売れていきました。
その後押しもあり、孟海茶廠の収益は改善しました。
しかし、その裏側では孟海茶廠の作るプーアル茶の質は下がり、古くからのプーアル茶ファンはだんだんと離れていきました。作れば作るだけ売れる世の中で、昔ながらの茶作りは簡素化され、それまで溜め込んできた上質の茶葉たちもそこをつく一方、生産量を増やした茶葉の品質も下がり、結果プーアル茶の品質全体が低下していきました。しかしそれでも孟海茶廠の作るプーアル茶は飛ぶように売れていきます。
プーアル茶バブルがはじけた2008年、プーアル茶の価格はそれまでの反動もあり、大きく下げました。もっとも大きく、有名で人気のある孟海茶廠もその荒波に飲み込まれ、新しいプーアル茶が以前と同じようには売れなくなりました。
しかし、市場をよく見ると、孟海茶廠がかつて作った銘茶たちの価値はひとつも下がることなくマーケットで評価され続けていました。
ここでついに孟海茶廠はその茶作りを見直します。
プーアル茶バブルがはじけ、良質な茶葉を仕入れやすくなってきた2010年ごろから順次プーアル茶の品質を上げ始めました。その変化はマーケットでも受け入れられていきます。本当の意味での高品位プーアル茶の数も増え、茶葉の品質だけでなく、より手間隙をかけたプーアル茶作りがされるようになりました。2013年には第四世代発行技術である黒馬製法の発表とともに、生茶作りの高品位かも宣言。それ以降、かつてのような陳年茶葉を使ったプーアル茶作りも復活させています。
そんな流れもあり、最近になって当店では大益茶廠の生プーアル茶のストックを再開し始めました。
プーアルカフェの大益茶はどれもプーアル茶ブーム以前、または以後のもの、それも第一批のものが基本です。
おいしい大益茶をぜひお試しください。
貴店に出会い、和諧中国から生茶にはまったので、昌泰茶にばかり目がいき、ふと気がついたら、大益の生茶のラインナップが何故少ないんだろうという疑問に突き当たりました。歴史的銘茶をキラ星のごとく輩出した大益ブランドですから、不思議に思いつつ、これなら極めつきだろうと、黄金歳月を注文しましたが、これが万人向けの作りだったので、誤解しました。このとき2011金大益を選んでいたら、認識はガラッと違っていたでしょう。
一方、大益の熟茶はプーアル茶バブルの頃のものでも、あまり外れがありません。これも、今の大益は熟茶メインなんだなと誤解した一因です。今から思えば、茶葉の質をある程度、技術でカバーできるのが熟茶なんですね。
それやこれやで、今頃になって大益の生茶を見直すハメになった次第ですが、その背景がよくわかり、興味深く拝読しました。
ところで、熟茶製法の第何世代という区別は、どの時代の何を区切りにしているのでしょうか? ちょっと気になったので、次回のブログで解説していただけたら幸いです。